ヘルスケア×電通グループ
第2回 大久保 裕一×林 剛

#チーミング #パーパス #環境変化 #電通ジャパンネットワーク 

メディカル領域を軸とする電通メディカルコミュニケーションズから、電通グループにおけるヘルスケア領域への取り組みを「ヒト」を通してご紹介します。


新型コロナウイルス感染症の流行で、社会の仕組みやコミュニケーションのあり方が大きく変わり、人々の生活は一変しました。メディカル領域をみても、社会全体が医療従事者や医薬品の重要性をこれまで以上に意識するようになった反面、課題も浮き彫りになりました。こうした変化の中で、電通グループはどのような視点で社会とかかわり、課題を解決していけばいいのか? 電通グループ内のチーミング促進を担う「電通ジャパンネットワーク」執行役員の大久保 裕一さんと、医療用医薬品のマーケティングやコミュニケーション戦略の策定・実施を行う「電通メディカルコミュニケーションズ」代表取締役の林剛にお話を伺いました。


新型コロナウイルス感染症流行後の社会の仕組みや

コミュニケーションの変化にどう取り組むか

大久保: 新型コロナウイルス感染症の流行で、多くの人が医療や社会の仕組みについて改めて考えるようになり、社会が抱える課題が顕在化してきていると感じています。これらの課題は簡単には解決できないものも多いですが、もし解決することができれば、それが社会貢献にもつながる可能性は大いにあるのではないかと思っています。最近、「何のためにこの企業が存在するのか」という概念を意味する「パーパス」という言葉が多く使われるようになり、企業に対する「社会的な存在意義」が問われるようになりました。企業がパーパスを実践することは容易ではありませんが、その実践をサポートする役割を電通グループが担えるのではないかと思っています。

: 私も同じ意見です。このコロナ禍において、特にヘルスケア領域では多くの人が共通の課題に向き合っているのではないかと思っています。また、電通メディカルコミュニケーションズはヘルスケアを軸としたビジネスを行っていますが、そうした立場から社会的な課題を見つめてみると、電通グループ各社の強みや課題が見えてきます。そうしたグループ各社の強みをつなげていくことで、パーパスの実践や課題解決のサポートができるかもしれません。

新しい課題を解決するために、企業間連携で大切なこと

: 私たちは、ヘルスケアに関する課題解決のために、電通グループ内で様々なチームを作り、協業活動を始めました。この活動を行う中で、「チーム全員が同じ方向に向うのは難しい」と実感する場面を多く経験したのですが、電通グループ内のチーミング促進を行う電通ジャパンネットワークでは、どのようなことを大切に考えて活動しているのですか?

大久保: 「課題解決のためには、多くの視点を持つことが大切である」という意識を持つことが、チーミングの促進につながると考えています。ひとつの現象や課題も、見る人や角度によってまったく違って見え、その違いが課題を解決する糸口になるという考え方です。たとえば、電通グループは2019年まで「株式会社電通」を頂点とするツリー型の体制でしたが、2020年からは130社、約20,000人の従業員で構成されるフラットな体制となりました。それにより、ひとつの課題を様々な角度から見つめやすい体制になったと感じています。さらに企業間連携でも新しい視点が生まれやすくなり、課題解決につながる可能性も増えたのではないでしょうか。

電通メディカルコミュニケーションズにおける

課題解決への新たな取り組み

: 電通メディカルコミュニケーションズは、医療用医薬品のプロモーションをビジネスの軸としていますが、その枠を越えて新たな社会課題に立ち向う必要性も感じています。そのためには「新しい視点」が必要であり、同時に情報に対する感度を上げていく必要もあると感じています。

大久保: 私は、専門性の高い人材は専門外でも活躍できる応用力を持っていると思っています。電通メディカルコミュニケーションズでは、メディカル領域において「専門的な医療情報を一般の患者さんにわかりやすく伝える」というお仕事もされていますよね。専門的な医療・医薬情報を一般の方でも理解しやすい内容に変換して伝えるというその技術は、メディカル領域以外でも十分通用する技術だと思います。氷山でたとえるならば、水面上に見えているのは「メディカル領域」だけかもしれませんが、その水面下では「専門性の高い情報をわかりやすく翻訳する」という土台となるスキルが存在しているということではないでしょうか。スキルをを使いこなすメタスキルによって、様々なコミュニケーションにおいて橋渡となる翻訳作業を行うことができるのではないかと思っています。この翻訳技術は、電通メディカルコミュニケーションズならではの強みだと思いますので、仕事の領域を狭く捉え過ぎないほうがよいと思います。

: 確かに、翻訳能力は社会で求められているスキルのひとつだと思います。私たちの翻訳能力を基に、様々なビジネス領域に参画し、課題解決につなげていきたいと思います。

大久保: そうですね。近年、医療ビックデータを活用した様々な研究が行われていますが、証券アナリストの参加で疾患関連因子の解析が成功したケースも耳にしています。これはまさに、専門外の応用力が寄与した実例だと思います。専門外であるがゆえに先入概念もなく、新しい視点で取り組めたことが功を奏したのではないでしょうか。

: その一方で、様々なスキルを持っている人同士をマッチングしていく作業の難しさも感じています。現在、電通グループの企業間でチームを組み、様々な課題に挑んでいますが、高い打率での成功はなかなか難しいですね。しかしそれと同時に、そこで諦めず、やり続けていくことが大切なのだとも感じます。加えて、目の前のクライアントの課題に対し、プラスαの「余計なおせっかい」をどう入れていくかも大切だと思っています。その「余計なおせっかい」がうまくかみ合うと、新たな動きや新しい視点が生まれるため、クライアントの半歩先を見据えたチャレンジは必要なことだと思っています。

大久保: 私はかつて、不動産広告を変える新しいキャンペーンの仕事を手がけたことがあるのですが、不動産広告の経験が全く無いスタッフの「新しい視点」の導入が成功につながりました。この経験からも、これまでの流れを一新するような新しい要素やピースを埋め込む作業には、予想もしない化学反応が起きる可能性があると思っています。

: メディカル領域は、専門外の人が課題解決に取り組むのはややハードルが高いかもしれないと思っていましたが、同じく専門性が高い不動産業界での成功例は励みになりますね。これからは業界問わず、様々な人が様々な領域に参画し、新しい視点や発想を入れていく必要があると強く感じます。

環境変化をチャンスに変えるための課題と展望

大久保: コロナ禍を経験して社会が大きく変わった今、新しい視点や発想が受け入れられやすい風潮になったように思います。そうした中、様々な課題要因を根本から見直さなければならないと感じているクライアントも多いのではないでしょうか。

: これまでのメディカル領域は専門性が高く、クライアントの視点もコミュニケーションの中心は「医師」であることが多かったように思います。しかし、これからの中心は「患者さん」であるべきではないかと思います。私たちや様々なクライアントも「患者さん」を中心として考えるという新たな視点を持つことは、社会全体にとっても有益だと思っています。

大久保: そうですね。デジタル技術は現在も飛躍的に進化し続けていますし、今後、従来型のビジネスモデルやサービスを一変させてしまう可能性もあります。そうした新しい技術によって、様々な角度から患者さんに寄り添うことができるようになると思います。そのときは私たちも、様々なお手伝いができるのではないかと思っています。

: 残念ながら、人間が生きている以上、世界から患者さんが一人もいなくなるということはないでしょう。しかし、コロナ禍で社会が「新たな変化」に寛容になった今、電通グループとして、そして電通メディカルコミュニケーションズとして、新たな視点で多くの患者さんをサポートできるよう、様々なことに挑んでいきたいと思っています。

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